フルタイムで働く場合、多くの人は「正社員の方が良い」と考えるでしょう。確かに正社員には多くのメリットがありますが、就職までのハードルも高い一方、派遣社員は比較的簡単に仕事を見つけられる反面、不安定な要素が多いのも特徴です。
しかし、現在では正社員だからといって必ずしも安定とも言い切れません。終身雇用や年功序列が崩れつつある今、選択肢を増やして転職をする人の割合も増えています。
生活していくには働かなくてはならないので、理想と現実をきちんと理解しつつお仕事探しをしていくことが重要です。様々な雇用形態がある中で今回は正社員・派遣社員の働き方について、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
正社員・派遣社員の働き方の違い
正社員と派遣社員の働き方は、雇用形態の基本的な違いがあります。正社員は企業に直接雇用されますが、派遣社員は派遣会社との雇用契約を結び、派遣先企業で働きます。この違いが、待遇や安定性に大きく影響します。

派遣制度の歴史
派遣という働き方が可能になったのは、1986年の「労働者派遣法」施行以降です。それ以降、1999年の小渕内閣による対象業務の原則自由化、そして2004年の小泉内閣による製造派遣解禁により規制緩和が進み、現在では営業や事務、製造など多くの業種で派遣が認められています。私自身、この制度がなければ仕事に就けなかったかもしれないと考えると、複雑な気持ちになることもあります。一方で、非正規雇用の増加や格差拡大は大きな社会課題でもあります。
求人探しから就業決定までのフロー
求人探しから応募・選考、そして就業決定までのフローやスピード感も大きな違いがあります。一概に正社員なら安定、派遣は不安定だけではない条件が多々存在するので見ていきましょう。
正社員の場合
- 求人を探す(転職サイト、転職エージェント、ハローワークなど)
- 応募書類を送付(履歴書・職務経歴書)
- 書類選考・面接(平均2〜3回)
- 内定・就業決定
転職サイトを使うのかエージェントを使うのかなどにもよって違いますが、上記がベーシックな流れでしょう。正社員就職には時間と労力が必要ですが、複数の内定を得て選択するのが最も理想的です。
派遣社員の場合
- 派遣会社に登録・面談(履歴書・職務経歴書を提出)
- 派遣会社から仕事紹介を受ける
- 応募・社内選考(派遣会社が候補者を選定)※1
- 職場見学(面談・仕事内容の確認)※2
- 就業決定
※1:派遣会社内の社内選考(お仕事にエントリーした人の中から派遣先企業へ推薦する人を派遣会社が選ぶ)
※2:履歴書・職務経歴書を元に個人情報にあたる箇所を伏せた派遣会社が作成した「スキルシート」を元に面談を行う。派遣スタッフが職務経歴などを派遣先企業へ説明し、派遣先企業は仕事内容などを説明する相互確認の場。

企業によっては一つの決まった派遣会社だけに人材紹介を依頼する場合もありますが、私の経験上、企業は複数の派遣会社へ人材紹介を依頼し複数名と面談をしてその中から選ぶということが多かったです。なので意外とすんなり仕事が決まらない場合も多々ありました……。
派遣先企業は派遣スタッフに対して面接や試験を行うことはできず、派遣スタッフの選考を目的とした行為は禁止されています。ですが実質、選考といえるような行為は行われているでしょう。
派遣会社からは一度に一人しか企業へ人材を推薦できないため、複数名の中から選びたい派遣先企業は複数の派遣会社に人材紹介を依頼し、面談を実施しているというのが実情かと思います。
勤務時間や給与の違い
正社員も派遣社員も勤務時間は同じことが多いです。しかし業務や責任の範囲が違うこともあり残業時間の違いが生じるケースは多いのではないでしょうか。
また給与については賞与の有無や、派遣社員は時給制であることが多いという違いもあります。
正社員の場合
給与形態 | 月給制や年俸制 |
賞与 | あり(企業による) |
残業代 | 固定残業代込みの場合もある |

上記は一般的な正社員求人の条件です。裁量労働制を導入している企業もありますね。企業によって様々ではあるので、求人の条件面は要確認!
派遣社員の場合
給与形態 | 時給制(まれに月給制) |
賞与 | なし |
残業代 | 別途支給 |
※交通費の支給あり(※2020年4月に改正労働者派遣法が施行される以前は交通費の支給はなし)

時給制なので、祝休日が多い月は月収が減ってしまうという点も懸念点ではあります。賞与を加味しなければ、月収では派遣社員の時の方がよかったなーと思ったこともありました。
正社員・派遣社員のメリットとデメリット
正規か非正規か、そう言われれば正規雇用の方がいいに決まっている!と思う人は多いでしょう。それは正直私自身もそう思います。実際に働く人それぞれの状況の違いはあれど、条件面だけではなく仕事に就くまでの過程も含めて考えると、「派遣社員での働き方があってよかった」と思ってしまうところもあります。感情的な部分は置くとして、それぞれの働き方のメリット・デメリットをわかりやすくまとめます。
正社員のメリット・デメリット
- 無期雇用で安定性が高い
- 賞与や昇給が期待できる
- キャリアアップのチャンスが多い
- 採用までに時間がかかる
- 内定獲得のハードルが高い
- 労働時間が長くなる可能性がある
派遣社員のメリット・デメリット
- 就業までが早い
- 仕事が合わなければ契約終了で切り替えが可能
- 残業代が明確に支払われる
- 有期雇用で安定性が低い
- 昇給や賞与がない
- キャリア形成が難しい
派遣社員から正社員になるには
派遣社員として一定期間働いてから直接雇用に切り替えてもらい正社員として働くというケースもあります。特に最近では非正規雇用労働者の処遇改善のため、派遣社員を雇用している企業に対し厚生労働省がキャリアアップ助成金という制度を設け正社員化させようとする動きも見られます。
私自身も派遣社員から正社員登用になった経験があり、そのメリットとしては一定期間派遣社員として働いているため仕事が合うかどうか確認してから正社員になれるという点があります。
紹介予定派遣で働く
紹介予定派遣とは、派遣先の企業に直接雇用されることを前提に派遣される働き方です。派遣期間中に、直接雇用の契約を結ぶかどうかを企業と派遣社員がそれぞれ検討し、双方の合意が得られた場合はそのまま直接雇用となります。そのため、紹介予定派遣で派遣されたからといって、必ず直接雇用されるわけではありません。ただ労働者側もその企業での仕事が合うかどうか確認できるためその点はメリットともいえるでしょう。
前述した通り通常の派遣では就業前の書類選考や面接などを禁止していますが、将来的に雇用につながる可能性がある紹介予定派遣では、就業前の書類選考や面接が認められています。そのため、派遣の「職場見学」とは違い通常の面接と同様の選考が行われます。
正社員登用の実績がある派遣求人で働く
紹介予定派遣ではなくても、期間が決まっていない長期派遣の求人に「正社員登用の実績あり」などの記載があれば(たとえ記載がなかったとしても)、派遣社員として就業後に直接雇用に切り替えてもらえる可能性はゼロではありません。1年以上の長期でも期限が決まっていたり、産休代替ポジションでの募集であったりの場合は、直接雇用への切り替えは望めない可能性が高いです。その辺りの温度感は「職場見学」などでもわかることがあります。
いずれにしても、一度派遣社員として働き、ずっと続けたいな、この会社で正規雇用で働きたいな、と思ったら、派遣会社の担当者に更新のタイミングなどで意見を聞いてみるといいと思います。
まとめ
- 派遣社員と正社員では仕事探しから就業決定までのスピードが違う
- 正社員として就職するにはハードルが高いが安定性も高い
- 派遣社員は就業のハードルが低いが条件面でデメリットも多い
- 派遣社員から正社員になるには紹介予定派遣で働く
正社員や派遣社員、様々な雇用形態がありますが、特徴や裏事情を知っておくと今後の転職活動も進めやすくなると思います。選択肢はたくさんあるので、状況に応じて選んで転職活動を有利に進めていってくださいね。